ブログ
-
紫外線による肌の老化対策 美肌を守るオーストラリアのスキンケア
2025-07-05
#オーストラリアの医療情報 #ブログ
太陽のさんさんと降り注ぐ南の国オーストラリアでは、冬でも紫外線対策が必須です。お肌を守るために、しっかりとSPF高めの日焼け止めクリームを塗っていきましょう。海や屋外では4時間ごとに塗りなおしてください。長袖、サングラス、つばの大きめの帽子や日傘も紫外線予防にとても役に立ちます。紫外線の他には、たばこや過度のアルコール、無理なダイエットによる栄養失調もお肌にとって大敵です。
紫外線によるダメージを受けやすいオーストラリアでは、日本に住んでいる時以上に、日常生活においても肌をきちんと気遣っていくことが大切です。例えば、体格や活動量にもよりますが、1~2リットルの水を毎日飲むことは、肌のハリやトーンの維持にとても効果的です。また、ビタミン、抗酸化食品、良質な資質を含む食事も、長期的に見て肌の健康に大きく関わってきます。
2025年現在、シミ、しわ、くすみに実際に効果があるとされる最先端の研究結果を踏まえた、オーストラリアの皮膚科、美容外科専門医イチ推しのアンチエイジング・抗酸化作用のある美容液成分をご紹介します。
【市販のアンチエイジング】
年齢とともにシミ、しわ、くすみなどが気になってきたら、まずは市販の美容液や保湿クリームを試してみましょう。薬局では、海外の有名ブランドの製品が日本よりも安く購入できる場合もあります。また、ブランドにとらわれずに、成分とお値段で購入を考えてみても良いかと思います。
☆☆☆☆☆ バクチオール Bacuchiol
☆☆☆☆☆ レチノール Retinol
☆☆☆☆☆ ナイアシンアミド (ビタミンB3)Niacinamide
☆☆☆☆☆ アスコルビン酸 (ビタミンC) Ascorbic acids
【病院の処方箋でのアンチエイジング】
オーストラリアでは、日本では皮膚科や美容外科で出されるトレチノインクリームやトラネキサム酸の錠剤などの処方箋も、かかりつけのGPで出してもらうことが出来ます。強いお薬には副作用もあるので医師による診察とフォローアップが必要です。GPで診察を受けてから、必要であれば皮膚科や美容外科専門医に紹介状を出すことも可能です。肌の美容やトラブルに関しても、先ずはお気軽に当院までご相談ください。
続きを読む
-
オーストラリアに滞在中の12-26歳未満の日本人と中高生、留学生、ワーホリさんのご両親にぜひ知ってほしいこと
2025-06-06
#ブログ
男性への子宮頸がん(HPVガーダシル9価)ワクチン接種について
オーストラリアの子供たちは皆、男女ともに7年生の時に学校でHPV9価ワクチンの集団接種を受けます。ワクチン接種の進んだオーストラリアでは子宮頸がんが大幅に減少しており、このままいけば2035年には撲滅宣言が出来る予定だそうです。以前は日本と同様に3回接種だったのですが、現在は12-25歳の若者については1回のみの接種でよいことになっています。医学的な研究の結果に基づき、若者については1回のみの接種で2,3回と変わらない高い予防効果があると証明されているからです。そして、この1回のHPV9価ワクチン接種は、オーストラリアに住んでいる26歳以下の男女に対して、政府からの公費での接種が可能です。
WHO (世界保健機関)は、女性だけでなく男性へのHPVワクチン接種も推奨しています。これは、HPV感染が性病であり、性交渉で男性から女性に感染することで子宮頸がんを引き起こすことがあるためです。男性もワクチン接種することで、HPV感染の予防に繋がり、結果として女性の子宮頸がん予防にもつながります。また、HPVは子宮頚がんだけでなく、性病いぼや、咽頭(のど)や肛門、陰茎などのがんの原因となることも分かっています。
さくらファミリークリニックは、日本人を対象としたクリニックではありますが、最近は口コミで多くの中国人、台湾人の留学生さんやワーホリさんが男女ともにHPV9価ワクチン(ガーダシル9)の注射を受けに来られています。自分の国では入手が困難で高額なワクチンを公費で打ってもらえるので、みなさんとても喜んでおられます。中国語のSNS(小紅书)ではオーストラリアでの接種報告とお勧めが多く投稿されているようです。昔からそうですが、華僑のネットワークはさすがだと思うし、中国人の若者の情報収集能力の高さには感心します。話を聞くと、注射は怖いし嫌だけれど、将来を考えてがんの予防のためにきちんとHPVワクチン接種を受けておきたいという意識が男女ともに共有されているようです。公費対象外の旅行者の方でも、自費で300ドル払ってでも接種を受けたいと希望される方が多くいます。
それとは対照的に、日本人の場合は、若い女性がごくたまに接種の相談に来るくらいで、男性がワクチン接種に来ることはほぼありません。同年代のアジアの若者達のこの行動格差には医療従事者として愕然とするほどです。推測するに、子宮頸がんワクチンについては、日本では、以前にまれな副作用とされる問題がメディアで大きく報じられ懸念されていたために、HPVのワクチン接種が海外と比べてかなり出遅れており、まだまだ接種の必要性への認知が男女ともにとても低いことが原因のようです。ちなみに、この極まれな副作用とされている症状についてはHPVワクチン接種とは医学的に関連性が証明されていませんが、HPVワクチンが癌を予防するという医学的根拠はしっかりと確立されたものであり、risk/benefit評価で総合的に判断すると、大金を払ってでも若者はHPVワクチン接種は受けた方が良いというところに落ち着くことになります。
話に聞くところ、日本では未だに2価や4価のワクチンが出回っており、公費で無料接種できるのは女性だけだそうです。そして男性については4価ワクチンを有料で3回受けるしか選択肢はないようです。
日本の若い男性も、オーストラリアではせっかく公費でHPV9価ワクチンが受けられるとても良い機会ということで、自分のため、そして将来のパートナーを守るためにも、こちらに住んでいる間にぜひ接種を検討していただきたいと切実に思っています。
続きを読む
-
オーストラリアの薬局でインフルエンザの予防接種を受けるには
2025-05-10
#ブログ
朝夕めっきり涼しくなってきました。これからオーストラリアにも風邪やインフルエンザのシーズンがやってきます。抗体で免疫力をつけて感染のリスクを減らすため、そして重症化を防ぐためにも皆さんぜひインフルエンザの予防接種をご検討ください。
インフルエンザワクチンは、接種の2週間後から、3か月後をピークに約6か月間の効果があるとされています。半年前に日本で受けた方でも、そろそろ効果がなくなってくる頃なので、こちらの冬に備えて半年毎に新しくワクチン接種を受けることがお勧めされます。
クイーンズランド州では、大流行を防ぐために現在薬局やGPでの無料接種が行われています。無料接種はオーストラリア国民以外にも、クイーンズランド州に在住の留学生さん、ワーホリさん、駐在さんも対象となっています。旅行者の方や、州外にお住まいの方でも、インフルエンザの予防接種は薬局で$25ほどで受けることが可能です。
日本では滅多に風邪をひかない方も、慣れない海外生活で体調を崩すことが多いです。この機会にぜひ、ワクチン接種をご検討ください。旅行者の方や、州外にお住まいの方でも、インフルエンザの予防接種は薬局で$25ほどで受けることが可能です。
薬局での接種については、それぞれの薬局のウェブサイトから簡単に予約が可能です。こちらご参照ください。英語での接種が不安な方は、当院でも接種が受けられますのでいつでもお気軽にご相談ください。
↓のロゴをクリックすると、各薬局の予防接種予約ページにアクセスできます。
続きを読む
-
オーストラリアのセックスワーカー 風俗のお仕事についての注意喚起
2025-04-12
#その他 #ブログ
オーストラリアには、性産業が合法となっている州も多くありますが、中には違法の風俗店、売春宿もたくさんあります。ここオーストラリアでは、昔から、多くのアジア人女性が性差別や性虐待の犠牲になってきました。日本人女性は特に、従順なセックスワーカーとして人気があり、搾取の対象として狙われています。最近は、日本からの出稼ぎ売春を目的として渡航する方も増えていますが、観光ビザで就労して摘発にあったり、入国拒否されるケースも相次いでいます。
セックスワーカーとして働くことを決めるのには、皆それぞれの事情があるかと思います。経済的に困窮して、生きていく為に仕方なく体を売るという選択をしなければならないケースも多いようです。また、夢を叶えるために、短期で高収入になると誘われてつい、という話もよく聞きます。職業の選択は自由です。けれども、性産業にはとてもたくさんの危険が伴います。そのことをどうか知っておいてください。幾つか例を挙げてみましょう。
- 恐喝、暴力、レイプ、盗難、ストーカーなどの犯罪行為に巻き込まれる危険
- 違法薬物に関わる危険
- 人権侵害の危険
- 自尊心の低下とトラウマ、鬱、メンタルヘルスに悪影響が出る危険
- 違法人身売買に関わる危険
- 望まない行為を無理矢理にさせられる危険
- 妊娠の危険
- 性病の危険(クラミジア、淋病、トリコモナス、マイコプラズマ、HIV、肝炎、梅毒その他)
- 子宮頚がんの危険
- 自分が犯罪者になってしまう危険
- 自分のことを大切にできなくなる危険
- 後遺症の危険
どんなに平気だと思っていても、お金を対価として自分の性的同意を差し出すことは、女性の尊厳、そして自分の体と心を傷つける行為であることに違いはありません。ただの仕事、と割り切れるのに越したことはありませんが、仕事を辞めた後も、後悔の念にずっと苦しんでいる方も多くいます。
上記のリスクを承知した上で、それでもセックスショップでお仕事をすることになってしまった場合、いくつか知っておいて欲しいことがあります。
性病を予防するために、コンドームは必ずいつもつけてください。コンドームを付けないのはとても危険な行為であり、合法なお店では、外すオプションは存在しません。コンドームをつけていても性病にかかることはあるので、性病検査は月一で定期的に受けましょう。
辛いこと、困ったことがあれば、偏見なくサポートしてくれる機関をご紹介出来ます。支援団体や警察に保護してもらうことも出来ます。悪質な斡旋業者は問題ですが、売春自体は罪に問われることはないので、心配はいりません。トラブルに巻き込まれたら、すぐに相談して下さい。力になりたいと願っている人達がいます。
続きを読む
-
大麻、マリファナと医療大麻 Medicinal cannabisへの注意喚起
2025-03-17
#オーストラリアの医療情報 #ブログ
オーストラリアでは、大麻・マリファナ(cannabis)は違法薬物となっています。しかしながら、こちらでは入手は比較的簡単なようで、近年は、日本人のワーホリさんや留学生さんが取り締まりに合うケースも多くなっています。
大麻が違法薬物に指定されているのは、大麻が人体にとって有害だからに他なりません。大麻の使用により幻覚作用や記憶への影響、学習能力の低下等が引き起こされます。さらに、使用を続けることにより、精神依存(不安感、大麻に対する渇望等)の形成や、統合失調症やうつ病発症リスクの増加、IQ(知能指数)の低下などが引き起こされます。本当に、よいことは何もないので決して手を出さないでいただきたいです。
医療大麻については、オーストラリアでは2016年より医師による処方が合法化されています。それ以来、大麻ビジネスの一環として、不適切な医療大麻の処方が急激に増加しています。最近では、大麻クリニックが大麻処方を宣伝するなどの違法行為で罰金刑を受けるケースが増えており、大きな問題となっています。[*1,*2]
そういったクリニックでは、大麻はうつや不眠、不安障害などに有効だと主張していますが、実際のところ、現在の段階では十分な医学的エビデンスはありません。オーストラリアの精神科医学会でも、総合診療医学会でも、メンタルヘルス疾患をもつ患者さんへの医療大麻の処方は控えるべきだとの見解を発表しています。[ *3 *4] 国際的な視点から見ても、医師の多くは、他に選択肢のない末期がんの緩和ケアや難治性てんかん以外での大麻処方には未だに懐疑的です。
オーストラリアのクリニックの中には、海外旅行保険を不適切に利用して日本人旅行者に大麻を提供しているところもありますが、不正が疑われるケースについては保険会社からの厳しい審査が入るそうです。そういったやり方は、たとえ法的に可能であっても、医療倫理的には問題があると思います。
患者さんにとって、メンタルヘルス系の相談でクリニックを受診するのはとても勇気がいることです。そうやって悩みぬいてやっと話をしに来てくれた心の弱った患者さんに付け込んで、依存性の高い医療大麻を処方するのは極めて不適切だと感じます。オーストラリアでは近年、不適切な大麻処方の影響下で、メンタルヘルス疾患の症状がさらに悪化したり、精神病を発症するといった症例の著しい増加が懸念されています。警察沙汰になったり、精神病棟へ隔離されたり、最悪命を絶ってしまうというケースもあるようです。 [*5,*6] 世界各地における研究でも、大麻使用による死亡率の増加が明らかになってきています。[*7]
オーストラリアに滞在している日本人の皆さんには、気軽に手に入るからこそ、大麻にはたくさんの危険性があることをぜひ知っていただきたいと思います。もし周りの人に大麻などの薬物を勧められても、断る勇気を持ってください。医療大麻を服用して症状が悪化している場合には、他の信頼できるクリニックでのセカンドオピニオンを受けることをお勧めいたします。
*1 https://www1.racgp.org.au/newsgp/clinical/extent-of-non-compliant-medicinal-cannabis-clinics
*5 https://amp.abc.net.au/article/104116952
*6 https://amp.abc.net.au/article/104449400
*7 https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2829914
続きを読む