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海外で活躍する日本人医師の特集インタビュー 吉田まゆみ医師
2025-03-15
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海外で活躍する日本人医師の特集ということで今回医療法人社団MyMedicalさんよりインタビュー記事が出ています。将来海外でのキャリアを目指す日本の医学生や若手医師の方々を応援する主旨ということでした。よかったらご一読ください。
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緊急避妊ピルmorning after pill/emergency contraception について
2025-02-15
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オーストラリアでは、緊急避妊ピル、モーニングアフターピルは薬局で処方箋がなくてもご自身で購入が可能です。年齢制限はありません。GP に行かなくても、週末でも、薬局で、薬剤師さんからお薬を出してもらうことができます。避妊に失敗してしまったら、出来るだけ早く、出来ればその日のうちにお薬を買ってすぐに飲みましょう。お薬を飲んだ後に、気持ちが悪くなって吐いてしまった場合は、またすぐに薬局に戻ってもう1錠買って飲んでください。
オーストラリアでは、緊急避妊用として2種類のピルが販売されています。Ella One (30ドルくらい)と Levonelle (15ドルくらい)です。Levonelleは性行為から48時間以内まで、Ella Oneは72時間までの服用に避妊効果があります。Ella Oneの方がお値段は高いですが、より効果があるとのデータもあります。どちらにしても、少しでも早めに飲んだ方が効果が高いことが証明されています。
緊急避妊ピルを飲むと、ホルモンバランスの影響で、次の生理が不規則になることが多くあります。緊急避妊ピル服用後に出血があれば、おそらく妊娠はしていないので、ひとまず一安心です。ただ、性病感染のリスクはまだ残っています。今後同じような失敗をしないためにも、性病検査と避妊についてのアドバイスを受けに一度GPを受診してください。
緊急避妊ピルは絶対に効くわけではないので、次の予定日から5日過ぎても生理が来ない場合は妊娠検査をしてください。陽性が出てしまった場合は、早めにGPに相談してみましょう。中絶の手段としてはお薬と手術がありますが、オーストラリアで中絶をする場合、費用は1000ドル以上かかることもあり、さらに精神的にも身体的にも負担がかかります。
緊急避妊ピルを、避妊手段として何度も飲むのはよくありません。望まない妊娠を避けるためには、日ごろから、通常の低用量ピルやコンドームで、予防としての避妊を徹底することがとても大切です。毎日しっかりピルを飲みつつ、さらにコンドームを併用すれば、妊娠をすることはほぼありません。ピルが合わなかったり、毎日ピルを飲むのが大変な場合は、注射、インプラント、コイルなどの長期的な避妊方法について医師に相談してみましょう。
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Could I get a Chaperone? 海外の医療現場でのシャペロン制度について
2025-01-11
#オーストラリアの医療情報 #ブログ
シャペロン(Medical Chaperone)とは、診察時における同席者のことです。観察者(Medical Observer)とも言われます。
オーストラリアや英国、アメリカなど、海外の先進国の医療の場においては、医師が診察時に患者さんの体のプライベートな部位を診察する必要がある場合には、同席者(シャペロン)をつけることが適切であり望ましいとされています。特に、男性医師が女性患者さんを診察する際には、女性スタッフのシャペロンをつけることがよくあります。忙しくて病院のスタッフがすぐに同席出来ない時は、1人で診察を受けても大丈夫か、もしくは少し待ってもらってもいいかなどを聞いてくれたりもします。
患者さんが診察時に同性の付き添いやスタッフをシャペロンにつけてほしいと頼むことは、ごく自然で当たり前なことです。特に若い女性にとっては、相手の国籍や職業、社会的地位に関わらず、異性と二人きりにならないことで、予期せぬ性被害のリスクを減らすことができます。
お医者さんに失礼かな、気を悪くするかな、自意識過剰かしら、などと気にする必要は全くありません。なぜなら、医師にとっても、シャペロンをつけることは、誤解やトラブルから自身を守るための大切な手段だからです。診察時に医師がシャペロンをつけるのは、患者さんを尊重しているからこそであり、これから医師と患者が良い信頼関係を築いていくために必要なことだと理解してもらって差し支えありません。
胸のしこり、陰部のできもの、痔、おりものが増えた等、ちょっと恥ずかしいかな、と感じるような診察を異性の医師から受けることになった場合には、気軽にシャペロンつけて下さい、と頼んでみましょう。良い医師から嫌な顔をされることは絶対にありません。
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貧血のおはなし 「貧血になった」という日本語表現には気を付けて
2024-12-16
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毎月生理がある女性にとっては、鉄欠乏性貧血はとても身近な問題です。疲れ、気分の落ち込み、動悸、息切れ、めまいや立ち眩みなどの症状でクリニックに来られる患者さんは数多くいらっしゃいます。日本語では立ち眩みの症状を指して「貧血になった」、ということが多いですが、これは外国では誤解されるので気を付けましょう。医療現場においての貧血 (anaemia) とは、血液中のヘモグロビンの数値が低いことを指し、血液検査で診断されます。日本語で巷でよく使われる、「貧血になった」、「貧血で倒れた」、というのは立ち眩みや失神の症状(dizzy spells/syncope)を表すものですので、これは必ずしも医学用語である貧血=ヘモグロビンの低値=anaemiaが原因とは限りません。こちらのGPに貧血で倒れたんだけど、と相談すると、血液検査もしていないのにどういうことだろう?と不思議な顔をされるのは、上記の理由によるものです。
ワーホリさんや学生さんの中でも、オーストラリアに来てから生活環境の変化で生理が重くなったり、食費の節約や無理なダイエットで食生活が偏ったりすると、鉄欠乏性貧血になってしまうことがよくあります。前述した疲れ、めまいや気分の落ち込み、動悸、立ち眩みなどの症状の他にも、氷をやたらに食べたくなってしまうという変わった症状(氷食症)が出ることもあります。
鉄欠乏性貧血は、血液検査で簡単に診断がつきますので、気になる方は一度GPクリニックで血液検査をしてみましょう。体の中の鉄分のインプットを増やして、アウトプットを減らすことでバランスを取り、体内の鉄分、ヘモグロビン値を増やしていけば、貧血の症状は改善されます。インプットとしてはほうれん草や牛肉、鉄分のサプリメントを摂取すること、アウトプットではお薬やピルで生理過多をコントロールすることなどで、上手く治療していくことが出来ます。
鉄分のサプリメントは処方箋なしでも薬局で購入できますが、商品によって錠剤に含まれている鉄の量が違うので、うんちが黒くなるくらいしっかり鉄分が入っているもの(elemental iron > 100mg)を選ぶようにしましょう。鉄分はビタミンCと一緒に摂ることで吸収が良くなるので、鉄分とビタミンCが一緒に入っているFerrograd Cなどがお勧めです。錠剤は食前の服用がベストですが、副作用で気持ち悪くなる場合は食後でも大丈夫ですので、数値が上がるまで毎日しっかり飲み続けていきましょう。
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日本脳炎の海外での小児予防接種について オーストラリアの場合
2024-11-22
#オーストラリアの医療情報 #ブログ
日本では3歳から受ける日本脳炎の予防接種は、オーストラリアの小児予防接種プログラムには入っていません。こちらに滞在中のご家族からは、日本脳炎のワクチンをオーストラリアで受けることが出来るかというお問い合わせをよくいただきますが、オーストラリアで入手可能な日本脳炎のワクチン(2回接種)は、日本のもの(4回接種)とは別物で、互換性はありません。そのため、当院では日本に帰国の際に接種をするようにご案内しています。
海外製の日本脳炎ワクチンは、日本で接種されているより安全で有効な国産ワクチンとの 互換性は証明されておらず、打ち直しとなりますのでご注意ください。
詳細につきましては、こちらの資料をご参照ください。2017年に外務省の福利厚生室より頂いた情報です。
https://www.meitetsu-hospital.jp/app/wp-content/uploads/2019/12/yobou_144.pdf
オーストラリアのクリニックで日本脳炎のワクチン接種を受けても、帰国の際にはノーカウントとされ、さらに4回の予防接種が必要となります。こちらでわざわざ高額のワクチン費用と診察費用を払って2回も痛い注射を受けさせる意味はなさそうです。海外では日本で流通している国産ワクチンは入手できないため、日本脳炎のワクチン接種については、日本にご帰国の際に予防接種を受けるようにしましょう。
ちなみに、結核の予防接種、BCGワクチンは、そのほかの接種スケジュールにある他のワクチンと同様に、日本のものとの互換性が確立されておりますので、オーストラリアで受けても、帰国の際に日本で受けてもらっても大丈夫です。日本では大体9か月頃にスケジュールが組まれておりますが、BCGは生後すぐから受けることが可能です。一時帰国中の受診の可否や金額は各自治体によって異なりますので、詳細につきましては日本の小児科にお問い合わせください。
小児定期予防接種については、お子様のために信頼できる医師またはウェブサイトから正しい情報を収集した上で、オーストラリアにいる間はこちらのプログラムに沿って、現地の子供達と同じタイミングで定期予防接種を受けていきましょう。
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