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オーストラリアでの小児予防接種と乳幼児健診について
2024-09-21
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オーストラリアでは、小児ワクチン接種と健診は生後6週間、4か月、6か月、12か月、18か月と4歳で受けることになっています。
お子さんが日本で出国時に日本の定期予防接種を完了していても、オーストラリアで追加接種を受ける必要があることも多いです。推奨される接種の時期と間隔は国によって異なるので、オーストラリアで生活していく場合はこちらのルールに沿って必要な接種を受けていくことになります。例えば、オーストラリアの子供たちは、日本では打たないACWY髄膜炎の接種を12か月で受けています。日本では年長さんで受けるMMRの2回目はこちらでは18か月での接種になります。
また、日本への帰国を予定している場合は、オーストラリアでは定期接種に入っていない、日本帰国時に接種しておいた方が良いワクチンもあります。BCGや日本脳炎などがその例です( 詳細はこちらの記事をご確認ください)。GPクリニックでの診察の際に、母子手帳の接種記録欄を医師や看護師と確認していきましょう。
オーストラリアでは、(アメリカやイギリス、ヨーロッパなど日本以外の主な諸外国も同じです)赤ちゃんの定期予防接種は基本的に筋肉注射です。12か月までの赤ちゃんには、筋肉の量が多く痛みが少ないとされる両足の太ももに打つことになっています。
日本でも、10年以上前から日本でも小児科学会は太ももへの接種を推奨しています。日本の予防接種は皮下注射が主流なので、一昔前までは赤ちゃんの腕に皮下注射を打つこともあったそうです。ちなみに、現在は複数のワクチンの同時接種も全く問題ないとされています。
特に、クイーンズランド州で最近始まったQLD州政府によるB型髄膜炎の予防接種(メディケア国民保険をお持ちの方のみ対象です)については、熱や腫れなどの副作用が強いため、左太ももへの筋肉注射をするように指示が出ています。また、他のワクチンと同じ足に同時に打たないことや、接種前後にPanadolなどの解熱剤を飲ませることも強く推奨されています。
大切な赤ちゃんを命に関わる病気から守っていくために、ワクチン接種は非常に重要なことです。接種時には同時に乳児検診を行い、身長、体重、頭囲をグラフに記録して、赤ちゃんの成長や発達に問題がないかどうかを毎回経過観察としてしっかり診ていきます。また、オーストラリアのGPでは、乳児検診と同じタイミングで、出産後のお母さんの経過観察、避妊、体調管理やメンタルヘルスなどについてもフォローアップしてもらえます。ホルモンバランスが乱れている産後のお母さんには、産後うつのリスクがあります。海外での慣れない子育て、睡眠不足、ストレスだらけの色々と辛いこの時期をサポートするのもGPの大切な役目です。
予防接種のタイミング以外でも、赤ちゃんのことやご自身のことで気になる点があればいつでもお気軽にご相談ください。

Dr Mayumi Yoshida
吉田まゆみ医師 🇦🇺 🇯🇵 🇺🇸 🇬🇧
MBBS, BMedSci, MRCGP, DFSRH (UK), FRACGP (Australia), ECFMG(USA)
福岡県福岡市出身。16才の時に渡英。2003 年に英国ノッティンガム大学医学部を卒業、イギリスの医師免許を取得。2007年にアメリカの医師免許資格(ECFMG Certificate)を取得。2014年に英国オックスフォードで総合診療医/GP課程を修了、イギリスとオーストラリア両国のGP資格を保持する。2024年に日本の医師国家試験に合格し、現在イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本の4か国における医師国家資格を有する。