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ピルについて よくある質問Q+A
2024-10-05
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ピルは、避妊目的以外でも、生理痛、月経過多、PMSやニキビなどの治療に使われています。ピルを飲む方は最近は日本でも増えてきています。オーストラリアではピルは安価で買うことが出来るので、こちらに来てから飲み始める方も多いです。今回は一般的なピル、オーストラリアの国内市場で一番よく流通しているスタンダードなCOC (Combined Contraceptive Pill) の服用方法についてお話ししたいと思います。
ピルの飲み方は?
シート左下の、Start in the green (red) section 緑(赤)のところから飲み始めましょう。生理が来てから(妊娠していないことを確認した上で)、曜日を合わせて飲み始めます。朝昼晩、食前食後いつでもいいので、自分が一番確実に飲めそうな時間を決めて、携帯のアラームを設定して、毎日同じ時間に飲んでください。飲み始める曜日によっては偽薬から始める場合もあるし、ホルモンが入っているピルから入る場合もありますが、どちらでも大丈夫です。一日に一個ずつ飲んでいきましょう。
ホルモンが入っている色つきのピルを飲んでいる間は出血しませんが、飲み忘れたり、白色(もしくは違う色)のシュガーピル(何にも入っていない、休薬期間のための偽薬です)を飲むころになると数日で出血します。基本的には、出血の有無にかかわらず、毎日曜日通りに一錠ずつ飲んでもらえれば問題ありません。偽薬には何の効果もないため忘れても飲まなくても大丈夫ですが、毎日の服用習慣をつけるためには飲んでおいた方が良いでしょう。
ピルを飲み忘れたら?
おそらく出血します。出血の有無にかかわらず、思い出した時点で1錠、次の日からはいつもの時間に1錠ずつ飲んでください。飲み忘れた分は捨ててください。避妊効果がなくなる場合もあるので、次の7日間は必ずコンドームを使ってください。
副作用は大丈夫?
全くなにもなかった、という方も多いですが、特に飲み始めの一週間は、吐き気やむくみ、胸のはりなどの副作用が出る方もいます。多くの場合は副作用は一週間くらいでに落ち着いていくので、我慢できるようであればしばらく続けてみてください。しばらく飲んでみても副作用が気になる場合は、他の種類のピルもたくさんあるので、違うピルに代えてもらうのもよいかと思います。
ゴムとの併用は必要?
避妊目的でピルを飲んでいる場合でも、飲み忘れ、吐き気や下痢、抗生物質との併用などで避妊効果がなくなる場合もあります。ピルだけだと性病のリスクもあります。出来るだけコンドームと併用するように心がけてください。ピルの避妊率は97%、ゴムだけだと70-80%と言われています。ピルとコンドームを併用していけば、妊娠のリスクはほぼなくなります。望まない妊娠や、性病を予防するために、コンドームはしっかり使うようにしましょう。
生理をずらしたい場合は?
旅行などに生理の予定日が重なってしまってずらしたい場合、偽薬を飲まずにスキップすることで、次の生理を遅らせることが出来ます。6週間ホルモンが入っているピルを飲み続けていれば、おそらくその期間には出血はありません。
リスクはある?
COCピルを飲んでいる人と飲んでない人を比べた場合、ほんの少しだけ、飲んでいる人の方が発症しやすいとされているのが、血栓症と乳がんです。煙草は吸わないこと、しっかり水分補給をすること、月に一度自分で乳房のセルフチェックをすること、などでリスクを減らしていきましょう。片足のふくらはぎが腫れていたくなったり、胸のしこりが気になる場合はすぐに病院を受診してください。COCピルの場合は超低用量と謳われていてもリスクはゼロではありません。
飲めない場合は?
高血圧や糖尿病、乳がん、肥満、片頭痛などの持病があったり、喫煙や年齢が高めだったりする場合は、上記リスク等を考慮してCOCピルを飲むのに適さないと判断される場合もあります。そういう方にはリスクのない、より安全なピルPOP(Progesteron only Pill)が勧められます。このピルは授乳中の方も飲めます。また、どうしてもピルをよく飲み忘れてしまう方には、インプラントやミレーナコイルが勧められるケースもあります。
最後に
ブリスベンのさくらファミリークリニックでは、オーストラリアで日本語での診察とピル処方を行っています。オンラインでの診察も可能です。オーストラリアにはたくさんのピルが市場に出回っていますが、ピルのお値段はひと月3ドルから80ドルとまちまちです。医師に相談の上、自分に適したピルを飲むことで、体調の改善と望まない妊娠を避けることが出来ます。みなさんがオーストラリアで快適な毎日を過ごせるようにお手伝いができればと思っています。お気軽にご相談ください。

Dr Mayumi Yoshida
吉田まゆみ医師 🇦🇺 🇯🇵 🇺🇸 🇬🇧
MBBS, BMedSci, MRCGP, DFSRH (UK), FRACGP (Australia), ECFMG(USA)
福岡県福岡市出身。16才の時に渡英。2003 年に英国ノッティンガム大学医学部を卒業、イギリスの医師免許を取得。2007年にアメリカの医師免許資格(ECFMG Certificate)を取得。2014年に英国オックスフォードで総合診療医/GP課程を修了、イギリスとオーストラリア両国のGP資格を保持する。2024年に日本の医師国家試験に合格し、現在イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本の4か国における医師国家資格を有する。