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  • オーストラリアでのピルのオンライン処方について

    2024-06-28

    #オーストラリアの医療情報 #ブログ

    オーストラリアでのピルのオンライン処方について

    オーストラリアでは、2割から3割の女性がピルを服用しており、およそ5割から8割の女性がピルの服用経験があるとされています。日本では、ピルを服用している女性はわずか3%未満だそうです。

    日本はピル後進国と言われています。日本ではピルは高額だし、副作用が過度に心配されているので、なかなか皆さん産婦人科を受診してまで飲んでみようという気になれないのかもしれません。

    オーストラリアでは、かかりつけのGPで簡単にピルを出してもらうことが出来ます。風邪をひいたときなどの診察のついでに、ピルチェックをして処方箋をもらうこともできます。オーストラリアの女性は、避妊目的はもちろん、生理痛、生理不順、ニキビや肌荒れ、PMSなどの症状を抑えるためにピルを飲んでいることが多いです。ピルを飲んでこれらの症状が改善すれば、毎月辛い思いをすることなく、快適に毎日を過ごすことが出来るようになります。また、ピルを飲むことによって、旅行の際に生理を遅らせたりすることが簡単にできるようになります。ピルを飲むことで、毎月の辛い生理が改善されて人生がかなり楽になったと喜ぶ患者さんもとても多いです。

    若い女性にとって、望まない妊娠を避けることはとても大切なことです。コンドームだけでは避妊に失敗してしまうことはよくあります。ピルとコンドームをしっかり併用していれば、妊娠の可能性はほぼなくなります。

    日本から飲んでいるピルをオーストラリアでも続けたい場合、日本から持ち込めるお薬は、3か月分までとなっているので、オーストラリアのGPでピルの継続の処方をしてもらうことになります。

    トリキュラー、マーベロン、ヤーズなどはそのまま同じものが処方できます。ルナベルやフリウェルなどは、オーストラリアには全く同じものはありませんが、似たようなホルモンの入った一般的なピルで代用することができます。日本ではピルは月に3000円くらいと高額ですが、こちらでは安いものは4か月分が15ドルしないくらいなので、物価の高いオーストラリアでも皆気軽にピルを試してみることが出来ます。ピルの種類はたくさんあるので、もし合わない場合には他のピルに代えていくことも出来ます。

    さくらファミリークリニックでは、遠方にお住まいの方にはオンライン診察でのピル処方をしていますが、診察の前に予めお近くの薬局などでの血圧測定をお願いしています。診察の後、ご自宅最寄りの薬局に処方箋をお送りします。オーストラリアでピルを出す場合、特に問題がなければリピートの処方箋を含めて最長1年分の処方が可能です。

    血栓や乳がんなどの小さなリスクの増加には気を付ける必要がありますが、若くて健康な方であればほぼ問題なくお薬を飲んでいくことが出来ます。喫煙する方や、持病がある方には、リスクが少ない他の種類のピルを試してもらうことも出来ます。

    周りの子たちも飲んでいるし、じゃあ私もちょっと試してみようかな、と思っている方は、お気軽にさくらファミリークリニックまでご相談ください。

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  • オーストラリアの救急病院でのキャッシュレス診察について

    2024-06-04

    #クリニックからのお知らせ

    オーストラリアの救急病院でのキャッシュレス診察について

    ブリスベンのさくらファミリークリニックは、オーストラリアのクイーンズランド州各地にある救急医療センターを擁するPEHAグループと提携しています。海外旅行保険をお持ちの患者様は、当院からの紹介状で提携先の医療機関での診察をキャッシュレスで受けることが出来るようになりました。診察時にはオンラインでの日本語医療通訳を手配いたします。また、退院後のフォローアップとして、専門医の手配や日本語でのオンライン診察を予約することが可能です。

    現地の医療システムを熟知している当院の医療スタッフが、クイーンズランド州内外の各地の救急医療センターや専門機関と連携して円滑なコミュニケーションを取っていくことで、予期せぬけがや体調不良などの緊急時においても、患者さんへのケア、治療、フォローアップにおける包括的なサポートを提供していくことができます。

    外国人であることや、言葉や文化の壁があることが、患者さんにとって必要な医療サービスを受けるための弊害となってはならないと思います。マイノリティーに対する質の高い医療サービスを、今回広い地域において継続して提供できるようになったことをとても嬉しく思っています。

    提携病院一覧            https://peha.com.au/

    • クイーンズランド
      • ブリスベン     Mater Private Emergency Department
      • タウンズビル Mater Private Emergency Department
      • バンダバーグ Friendly Society Pviate Hospital Bundaberg
      • マッカイ           Mater Private Emergency Centre
    • タスマニア
      • ホバート                           Hobart Private Emergency Department
    • 西オーストラリア
      • トムプライス                Tom Price Medical/Emergency  Centre
      • パラバードゥー      Paraburdoo Medical/Emergency Centre

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  • オーストラリアの総合診療医での海外研修レポート [04,2024]

    2024-05-04

    #その他 #ブログ

    オーストラリアの総合診療医での海外研修レポート [04,2024]

    4月、オーストラリアのブリスベンにある日系GPクリニック、さくらファミリークリニックに日本の国際医療福祉大学から医学部6年生の医学生さんが1か月間の海外研修に来ていました。日本ではまだ馴染みの薄い、海外のGeneral Practitioner(GP, 総合診療医)での彼女の体験談をレポートしています。日本からの留学生や患者さん、医学生さん、医療従事者の皆さんにも是非読んでもらえればと思い、今回許可を得て掲載させていただいています。

    病院名 Brisbane Sakura Family Clinic

    診療科 総合診療科

    担当医師 Dr Dion Dewar, Dr Mayumi Yoshida

    1. 臨床実習で最も印象に残ったこと・学んだこと

    総合診療科での実習は初めてだったので、本当に刺激的な毎日を送りました。先生方からは、本当にたくさんのことを学びました。

    まず、先生方の診療をみて「地域を診る」というのがどのような事なのかとてもよくわかりました。ただ患者さんの治療をするだけでなく、地域で起きている問題や患者さんの紹介先でのトラブル対応まで取り組んでいる先生方やスタッフの方々がとても印象的でした。今までの実習はほとんどが大きい大学病院だったので、「病気を診る」ということがメインになっており、今回の経験はとても新鮮なものでした。

    また、患者さん本人の事だけでなく、家族の事や主訴に関連しない事も一緒に診ていけるGPの役割は、とても良いものだと思いました。日本ではジェネラリスト反対派の医師も多数いるため、まだまだGPは発展途上です。しかし、医師数の減少や地域医療格差、高齢化社会などの問題を踏まえると、地方や僻地でのGP(ジェネラリスト)の必要性は今後大いに増すと思いました。

    特に日本で問題となっている産科分野に関して、僻地などでは産科研修を受けた総合診療科医がGPObstetricianとして活躍できると思いました。これは産科医の負担を減らすための第一歩だと感じました。

    オンライン診療が一般的になっている良い面と同時に、短時間のオンライン診療の危険性について知りました。診療時間ではなく診療点数で報酬が決まる日本の医療体制に、少し疑問をいだきました。

    日本では中絶が一種の避妊法になっていることや、性感染症に対する危機感の違いなど、普段の実習では気付けないような事もたくさんありました。自分の事を自分で守る、当たり前なこと、それが自分の心と体に大きな傷を残すまでわからない現実に胸が痛くなりました。日本のまだまだ未熟な性教育について今一度考え直すきっかけになりました。

    1. 今後のキャリアにどのように活かせるか

    海外実習へ行く前は、自分のやりたいと思う事に自信が持てず、自分が医師になれるかどうかすら疑問でした。しかし、この海外実習を通して、何事も失敗する可能性があれど、やってみないとわからないと強く感じました。

    私は元々地域の町医者のようなジェネラリストを目指して医学部に進みました。しかし、大学に入学してからはあまり成績もよくなく、「ジェネラリストは頭の良い人がなるべきだ、君はもっと簡単な科にいきなさい」と言われた事もありやる気が低迷していました。

    しかし、今回の実習で医師として正義感を持って地域の患者さんに向き合う先生方を見ていくにつれ、かつて自分の理想としていた医師像が蘇り、胸が打たれました。

    1. そのほか(ある場合)

    正直最初はこの時期に海外実習をやり遂げることにそこまで自信がありませんでした。しかし、海外実習を終えた今、このような素晴らしい機会を全員に作っていただいた大学や現地の先生方へ、感謝の気持ちで溢れるばかりです。学生のうちにこの経験ができたことは一生の財産となりました。

    海外で学ぶことで新たな視点が増え、日本でこれから働く上で、より多角的な方面から物事を判断することの重要性や奉仕の精神を身につけられたと感じています。

    また、低学年で学んだ医学英語のおかげで、実習中に会話で困る事はなく、また現地の日本人患者さんをヘルプする事もでき大変実りある実習となりました。

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  • 【オンライン診察と処方箋】携帯に処方箋を送ってもらうには

    2024-03-04

    #オーストラリアの医療情報 #ブログ

    【オンライン診察と処方箋】携帯に処方箋を送ってもらうには

    オーストラリアの病院やクリニックで、オンライン診察の際にメールで処方箋を送ってもらうには、IHI番号 Individual Healthcare Identifier (IHI) が必要です。メディケア国民保険をお持ちの永住の方には、IHI番号はメディケア番号に自動的にタグ付けされているので、番号を知っておく必要はありません。診察の際にメールやSMSで処方箋を送ってもらえるように、直接医師に頼んでください。

    メディケアを持たない、日本から中期から長期滞在でオーストラリアに来ている学生さんや駐在さん、ワーホリさんでも、政府のサイトMyGovにアカウントを作ることで、IHI番号を取得することができます。コロナワクチン接種の時代に証明書のためにIHIを取得した方も多いかと思います。MyGovのサイトに住所、氏名、生年月日、パスポート番号などの個人情報を入力して登録します。

    こちらのウェブサイトからアカウント登録できます。

    https://www.servicesaustralia.gov.au/how-to-get-individual-healthcare-identifier?context=22591

    この16桁のIHI番号を事前にクリニックに伝えておくと、オンライン診察や対面診察の際に、携帯のメールアドレスに処方箋のQRコードを送ってもらうことができます。

    届いたQRコードをお近くの薬局の処方箋カウンターで提示して、お薬を処方してもらってください。処方箋カウンターは通常、薬局の奥の方の、薬剤師さんがいるところにあって、Prescriptionと表記されています。広いオーストラリア中の全ての州の薬局で、同じ処方箋が使えます。

    IHI番号がない場合は、患者さんに直接処方箋は送れないので、従来通りにお近くの薬局を指定してもらい、クリニックからその薬局にファクスやメールで処方箋を送ってもらうことになります。たまにではありますが、薬局に行っても届いてない、と言われてしまったり、リピートの処方箋を出してもらえなかったりするトラブルがあります。

    オンライン処方箋なら、そのようなトラブルが起きる心配もなく、好きなタイミングで開いている最寄りの薬局に行くことができます。薬局を探す必要もありません。また、メールに保存しておくと、リピートの処方箋を紛失したりする心配がないので、とても便利なシステムです。オーストラリアにしばらく滞在する予定の方は、ぜひ一度オンライン処方箋を試してみてください。

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  • 医師のお勧め!!オーストラリアでかかる病院の選び方

    2024-02-25

    #オーストラリアの医療情報 #ブログ

    医師のお勧め!!オーストラリアでかかる病院の選び方

    オーストラリアで具合が悪くなった場合、どの病院にかかったらよいか悩む方は多いと思います。オーストラリアでは、緊急性がある場合は土日も夜間も開いている救急病院、待てるようであれば歯医者以外の病気やけがはすべてGPとよばれる総合診療・かかりつけ医のクリニックでの診察予約を取ることになります。

    GPでは耳鼻科、皮膚科、内科、眼科、小児科と歯医者以外の疾患を広く浅く診てもらえます。専門性がある場合は、まず初めにGPから紹介状を出してもらってから専門医での予約を取ることになります。紹介状がないと直接専門医では診察してもらえないのでご注意ください。それから専門医にかかるには、とっても時間がかかります。数週間、数か月かかることもよくあります。

    GPはいわゆる町医者なので、小学校区域エリアにだいたい2,3つほど、町の至る所にあります。大きな街には日本人GPや通訳がいるクリニックもあります。小さい子供さんがいる場合は、すぐに診てもらえるように通いやすい最寄りのGPで前もって登録しておくのがよいと思います。

    友人や家の人達に、お勧めのGPを聞いてみるのもよいかもしれません。英語に自信がない場合は、入っている保険会社さんに連絡すると近くの病院を紹介してくれたりもします。現地事情に詳しい、留学エージェントさんに頼るのもありです。自分でしっかり調べたい場合は、認定を受けているAGPAL認可のGPを探すことをお勧めします。

    AGPAL 認可を受けているクリニックでは、患者さんに対するカスタマーケアやスタッフの教育、医療プロセスの安全性、診察の質などが一定のスタンダードに達していると保障されています。オーストラリアでは、5000以上の、全体の8割近くのGPクリニックがこの認定を受けています。

    さくらファミリークリニックは、2017年からAGPAL の認定を受けています。どの認可クリニックもたくさんの書類審査や外部からの査定を経て、半年以上かけて準備をします。認可を得たクリニックは、自身のウェブサイトでAGPAL認可クリニックであることを宣伝をしています。また、AGPALのウェブサイトにアクセスしてエリアやポストコードを入力することで、お近くに認可クリニックを探すこともできます。かかりつけ医が認可を受けているかどうか、一度確認してみてください。

    https://www.agpal.com.au/for-consumers/#find-accredited-gp

    ちなみにさくらファミリークリニックでは新規患者さんは家族や友人からの紹介が一番多いですが、最近はネットで調べてきてくれる方も増えています。ただ、日本でも同じことが言えますが、病院のネットでの評判は全くあてにならないのでご注意ください。

    オーストラリアのGPは、みなさん専門医の過程を修了しているので医師自体の能力の差はそんなにないと思っています。成功率の低い難しい手術を受ける場合に名医とされる外科医を探すのとはわけが違うので、通常のGP診察においては特にこの人でなければだめだということはまずありません。ご自身でまずは電話してみて、受付さんの対応が良いところ、予約が取りやすいところをかかりつけ医にするのが一番だと思います。

    最後に、GPは患者さんの一部ではなく、心や体の全体を診ていくことに特化したスペシャリストです。何度か通ってみて、話していくうちに時間をかけて仲良くなり、徐々に信頼関係を築いていけるのが理想だと思っています。オーストラリアをはじめとする海外のGPは、患者さんと対等な立場での診察をしていくトレーニングをうけています。委縮することなく自分の意見をぶつけてみてください。

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