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  • 【オンライン診察と処方箋】携帯に処方箋を送ってもらうには

    2024-03-04

    #オーストラリアの医療情報 #ブログ

    【オンライン診察と処方箋】携帯に処方箋を送ってもらうには

    オーストラリアの病院やクリニックで、オンライン診察の際にメールで処方箋を送ってもらうには、IHI番号 Individual Healthcare Identifier (IHI) が必要です。メディケア国民保険をお持ちの永住の方には、IHI番号はメディケア番号に自動的にタグ付けされているので、番号を知っておく必要はありません。診察の際にメールやSMSで処方箋を送ってもらえるように、直接医師に頼んでください。

    メディケアを持たない、日本から中期から長期滞在でオーストラリアに来ている学生さんや駐在さん、ワーホリさんでも、政府のサイトMyGovにアカウントを作ることで、IHI番号を取得することができます。コロナワクチン接種の時代に証明書のためにIHIを取得した方も多いかと思います。MyGovのサイトに住所、氏名、生年月日、パスポート番号などの個人情報を入力して登録します。

    こちらのウェブサイトからアカウント登録できます。

    https://www.servicesaustralia.gov.au/how-to-get-individual-healthcare-identifier?context=22591

    この16桁のIHI番号を事前にクリニックに伝えておくと、オンライン診察や対面診察の際に、携帯のメールアドレスに処方箋のQRコードを送ってもらうことができます。

    届いたQRコードをお近くの薬局の処方箋カウンターで提示して、お薬を処方してもらってください。処方箋カウンターは通常、薬局の奥の方の、薬剤師さんがいるところにあって、Prescriptionと表記されています。広いオーストラリア中の全ての州の薬局で、同じ処方箋が使えます。

    IHI番号がない場合は、患者さんに直接処方箋は送れないので、従来通りにお近くの薬局を指定してもらい、クリニックからその薬局にファクスやメールで処方箋を送ってもらうことになります。たまにではありますが、薬局に行っても届いてない、と言われてしまったり、リピートの処方箋を出してもらえなかったりするトラブルがあります。

    オンライン処方箋なら、そのようなトラブルが起きる心配もなく、好きなタイミングで開いている最寄りの薬局に行くことができます。薬局を探す必要もありません。また、メールに保存しておくと、リピートの処方箋を紛失したりする心配がないので、とても便利なシステムです。オーストラリアにしばらく滞在する予定の方は、ぜひ一度オンライン処方箋を試してみてください。

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  • 医師のお勧め!!オーストラリアでかかる病院の選び方

    2024-02-25

    #オーストラリアの医療情報 #ブログ

    医師のお勧め!!オーストラリアでかかる病院の選び方

    オーストラリアで具合が悪くなった場合、どの病院にかかったらよいか悩む方は多いと思います。オーストラリアでは、緊急性がある場合は土日も夜間も開いている救急病院、待てるようであれば歯医者以外の病気やけがはすべてGPとよばれる総合診療・かかりつけ医のクリニックでの診察予約を取ることになります。

    GPでは耳鼻科、皮膚科、内科、眼科、小児科と歯医者以外の疾患を広く浅く診てもらえます。専門性がある場合は、まず初めにGPから紹介状を出してもらってから専門医での予約を取ることになります。紹介状がないと直接専門医では診察してもらえないのでご注意ください。それから専門医にかかるには、とっても時間がかかります。数週間、数か月かかることもよくあります。

    GPはいわゆる町医者なので、小学校区域エリアにだいたい2,3つほど、町の至る所にあります。大きな街には日本人GPや通訳がいるクリニックもあります。小さい子供さんがいる場合は、すぐに診てもらえるように通いやすい最寄りのGPで前もって登録しておくのがよいと思います。

    友人や家の人達に、お勧めのGPを聞いてみるのもよいかもしれません。英語に自信がない場合は、入っている保険会社さんに連絡すると近くの病院を紹介してくれたりもします。現地事情に詳しい、留学エージェントさんに頼るのもありです。自分でしっかり調べたい場合は、認定を受けているAGPAL認可のGPを探すことをお勧めします。

    AGPAL 認可を受けているクリニックでは、患者さんに対するカスタマーケアやスタッフの教育、医療プロセスの安全性、診察の質などが一定のスタンダードに達していると保障されています。オーストラリアでは、5000以上の、全体の8割近くのGPクリニックがこの認定を受けています。

    さくらファミリークリニックは、2017年からAGPAL の認定を受けています。どの認可クリニックもたくさんの書類審査や外部からの査定を経て、半年以上かけて準備をします。認可を得たクリニックは、自身のウェブサイトでAGPAL認可クリニックであることを宣伝をしています。また、AGPALのウェブサイトにアクセスしてエリアやポストコードを入力することで、お近くに認可クリニックを探すこともできます。かかりつけ医が認可を受けているかどうか、一度確認してみてください。

    https://www.agpal.com.au/for-consumers/#find-accredited-gp

    ちなみにさくらファミリークリニックでは新規患者さんは家族や友人からの紹介が一番多いですが、最近はネットで調べてきてくれる方も増えています。ただ、日本でも同じことが言えますが、病院のネットでの評判は全くあてにならないのでご注意ください。

    オーストラリアのGPは、みなさん専門医の過程を修了しているので医師自体の能力の差はそんなにないと思っています。成功率の低い難しい手術を受ける場合に名医とされる外科医を探すのとはわけが違うので、通常のGP診察においては特にこの人でなければだめだということはまずありません。ご自身でまずは電話してみて、受付さんの対応が良いところ、予約が取りやすいところをかかりつけ医にするのが一番だと思います。

    最後に、GPは患者さんの一部ではなく、心や体の全体を診ていくことに特化したスペシャリストです。何度か通ってみて、話していくうちに時間をかけて仲良くなり、徐々に信頼関係を築いていけるのが理想だと思っています。オーストラリアをはじめとする海外のGPは、患者さんと対等な立場での診察をしていくトレーニングをうけています。委縮することなく自分の意見をぶつけてみてください。

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  • ブリスベンの救急病院

    2023-09-27

    #オーストラリアの医療情報 #ブログ

    ブリスベンの救急病院

    さくらファミリークリニックに来院される日本人の患者さんの中には、ブリスベンを生活の拠点としている方々の他に、一時的にこの亜熱帯の都市を訪れている方も多くいらっしゃいます。様々な文化や風景が融合するオーストラリアでの滞在は、人生を豊かにしてくれることでしょう。しかし、どこの国でもそうであるように、時には予期せぬけがや体調不良などの緊急事態が起きてしまうこともあります。

    さくらファミリークリニックでは、平日の8時から5時まで、それから土曜日の午前中に、受付スタッフや医師による日本語での緊急の相談への対応が可能です。その上で必要と診断された場合には、当院医師の紹介状を持って専門医や救急病院を受診することができます。海外旅行保険をお持ちの方は、当院で提携している救急病院でのキャッシュレスでの受診が可能です。

    今回は、クリニックが閉まっている時間帯に急を要する怪我や事件、事故に巻き込まれてしまった場合や体調が急変した場合にどう対応すればよいかをお話ししたいと思います。

    不測の事態に対処するためには、事前の情報収集が必要です。オーストラリアで時間外の救急医療が必要になった場合、どのように対応すべきかを知っておきましょう。

    緊急性の高い症状

    早急な医療処置が必要な可能性のある場合について、いくつかリストアップしておきます。

    重要な状況

    胸の痛み: 家族歴や持病がある中高年の方の場合、20分以上続く持続的な胸の痛みは赤信号です。胃痛やストレス、肺の問題である可能性もありますが、息切れや動悸、めまいを伴う場合は心臓の問題でないことを確認する必要がありますので、早急に医師の診察を受けてください。

    呼吸困難: 子供の喘息やクループなどの感染症、呼吸器疾患は夜に悪化することが多いですが、息苦しさを感じる場合はためらわずに救急を受診してください。

    アレルギー反応: 食後の腫れや呼吸困難は、アレルギーの可能性が高いです。エピペンを使ってから救急車を呼びましょう。早急な処置が症状の悪化を防ぎます。

    脳卒中の可能性: 頭痛、手足の感覚がない、視覚異常などの脳卒中が疑われる場合は、迅速に対応する必要があります。早期の治療により、長期的なダメージや合併症を防ぐことができます。

    火傷: 火傷は、それほど深刻でないように見えても、適切な治療を受けなければ悪化する可能性があります。仕事中で忙しくても、まずはしっかり流水で20分間冷やしてください。出来るだけ早く病院に行くことで、感染症や傷の悪化を防ぐことが出来ます。

    暴行事件: 海外では日本人が事件や事故に巻き込まれることがよくあります。ブリスベンでも同様です。夜中に一人で出歩いたりしないなど、日本に住んでいる時以上に身の回りに気を付けてください。

    交通事故: 事故の際には自分の身の安全を確保しつつ行動してください。警察に連絡して、痛みがある場合は救急車を呼んでもらいましょう。

    水難事故

    オーストラリアには世界でも有数の素晴らしいビーチがいくつもあり、多くの人が海水浴を楽しんでいます。日本人にとってもオーストラリアでは、海水浴は外せないアクティビティの一つです。しかし、海水浴は時に危険を伴います。強力な離岸流、突然の波、海底の変動は、波打ち際で泳ぐことをたちまち命がけの状況に変えてしまいます。昨年、オーストラリアでは1000人以上の水の事故が報告されています。

    水から上がった後に気分が良くなっても、合併症の可能性があるため、速やかに医師の診断を受けてください。水難事故に関しては、常に安全第一を心がけましょう。

    二次溺水の危険性: 肺に入った水が炎症や腫れを引き起こすことがあります。これは “二次溺水 “または “遅延溺水 “と呼ばれています。溺れかけてから数時間後に起こることもあります。症状はすぐには現れませんが、後になって発症し、生命を脅かすこともあります。

    酸素モニタリングの必要性: 溺れかけた後、脳や他の重要な臓器にどれだけの酸素が届いているかをチェックします。酸素レベルをモニターし、低酸素症(細胞や組織に十分な酸素が行き渡らない状態)がないことを確認することが大切です。

    感染リスク: 海水等、特に非塩素系の水を誤嚥すると、肺に細菌が入り込み、肺炎などの感染症を引き起こすことがあります。

    他の外傷の確認: 事故による負傷は、すぐにはわからないことがよくあります。頭を打っていたり、ショック状態である可能性もあります。病院で経過を確認していきましょう。

    特記事項 :妊娠中の緊急事態

    妊娠されている方は、自分自身と生まれてくる子供のことを最優先に行動していきましょう。

    異常な腹痛: 24週以降にいつもとは違う鋭い痛みを感じた場合、すぐに病院を受診したことをお勧めします。詳しい胎児の診察で問題がないことが確認できれば、不安を取り除くことが出来ます。問題がある場合は専門の医療チームがすぐに対処することで命を救うことができます。

    斑点または出血: 妊娠中、出血を伴う場合は注意が必要です。早期でエコーを受けていない場合や妊娠中期以降は、早めの受診をお勧めします。

    胎動の減少****: 28週以降、赤ちゃんの動きが少なくなるのは、深刻な問題を示唆している可能性があります。赤ちゃんの様子がいつもとちがっておかしいと感じたら、出来るだけ早く医師の診察を受けることが大切です。

    救急病院への交通手段

    緊急時には迅速な判断が不可欠です。落ち着いて行動していきましょう。

    救急車: 大きな怪我や重症の場合は迷わず救急車を呼びましょう。緊急の医療処置が必要な場合は、000をダイヤルして救急車を呼んでください。救急車には即座に治療を行うための設備が整っており、迅速な対応で命を救うことができます。

    ライドシェア:  ブリスベンのライドシェアサービスには、Uber、Ola、InGoGo、Didiなどがあります。ドライバーに緊急事態であることを理解してもらい、最寄りの病院へ連れて行ってもらってください。ライドシェアアプリのダウンロードリンクはこちらです。

    タクシー : Yellow Cabs (131 924)とBlack and White Cabs (131 008)が、ブリスベンとその周辺地域で公式に認められている2つのサービスです。ブリスベンでは、クイーンズランド州政府がタクシー料金を規制しています。

    病院

    どの病院にも、救急患者を受け入れるための一連の手順があります。

    トリアージ: この最初の評価によって、治療の緊急度が決定されます。トリアージシステムは、緊急性の高い症例から対応するようにカテゴリーが分けられています。医師チームの診察の前に、看護師の問診で緊急度のタグ付けがされます。緊急度が低いと判断された場合は、4時間以上待つこともよくありますが、赤ちゃんや子供は比較的早く診てもらえます。

    書類作成: パスポートなどの公的な身分証明書と、ご加入の保険証券の詳細をお持ちください。入院手続きがスムーズになります。現在服用している薬の詳細を尋ねられることがあるので、処方箋やお薬手帳の詳細があれば役に立ちます。さくらファミリークリニックを受診後に救急病院に行く場合は、医師からの紹介状を受付に提出してください。

    ブリスベンの救急病院

    ブリスベンには、24時間年中無休で救急患者を受け入れている病院がいくつかあります。お住まいの地域や保険の種類に応じて、行き先を決めましょう。

    小児救急病院(16歳未満の子供)

    Queensland Children’s Hospital 

    501 Stanley Street, South Brisbane

    Ph. 07 3068 1111

    https://www.childrens.health.qld.gov.au/lcch/

    産婦人科救急病院

    Mater Mother’s Hospital

    Pregnancy Assessment Centre

    Raymond Terrance, South Brisbane

    Ph. 07 3163 8000

    https://www.matermothers.org.au/services/pregnancy-assessment-centre

    メディケアまたはOSHC学生保険加入者向け公立病院

    RBWH (Royal Brisbane and Women’s Hospital) 

    Accident and Emergency

    Butterfield St, Herston

    Ph. 07 36468111

    https://metronorth.health.qld.gov.au/rbwh/

    Mater Hospital 

    Accident and Emergency

    Raymond Terrace, South Brisbane

    Ph. 07 31638111

    http://www.mater.org.au/health/services/emergency-care/emergency-care-public

    Princes Alexander Hospital

    199 Ipswich Road, Woolloongabba

    Ph. 07 3176 2111

    https://metrosouth.health.qld.gov.au/princess-alexandra-hospital

    民間保険が使える病院(海外旅行保険、現地民間保険、AON)

    Wesley Private Hospital A+E – Wesley

    451 Coronation Drive, Auchenflower

    (Chasely St, Main Entrance)

    Ph. 07 3232 7000

    http://wesley.com.au

    Greenslopes Private Hospital A+E  – Greenslopes

    Newdegate Street

    Greenslopes

    Ph. (07) 3394 7654 (24/7 Emergency Centre)

    https://www.greenslopesprivate.com.au

    救急病院に行けない場合

    13SICK (訪問診療)

    かかりつけ医が休診の場合は、13SICK National Home Doctorを利用することもできます。医療従事者が自宅まで来てくれるまで、2~3時間待つことになりますが、メディケアに加入していれば、診察料は無料です。詳しくはこちらの動画をご覧ください。

    Ph. 137425

    https://homedoctor.com.au

    Metro North Health Virtual Emergency Department

    クイーンズランド州にお住まいで、遠隔健康相談が可能なデバイス(ビデオ、オーディオ、インターネット)をお持ちの方は、こちらのサービスをご利用いただけます。

    注意:特定の深刻な医療援助状況(リンク参照)では、このサービスを使用しないでください。

    https://metronorth.health.qld.gov.au/hospitals-services/virtual-ed

    終わりに

    海外に滞在予定の場合は、緊急事態に備えてすぐに連絡できる近くの病院をリストアップしておくと安心です。

    ブリスベンにある最寄りの救急病院を把握し、交通手段を理解し、到着までの見通しを立てておくことで、いざというときに慌てずに、素早く自信を持って行動することができます。観光の計画を立てるのと同じように、安全のプランも準備しておきましょう。

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  • オーストラリアの皮膚科 日本人旅行者へのアドバイス

    2023-09-15

    #オーストラリアの医療情報 #ブログ

    オーストラリアの皮膚科 日本人旅行者へのアドバイス

    ブリスベンはクイーンズランド州南東部に位置し、美しい自然と太陽の光が降り注ぐビーチにも恵まれています。しかしながら、オーストラリアの気候は時に、私たち日本人にも様々な肌の悩みをもたらすこともあります。

    ここでは、オーストラリアに滞在して20年近くとなる日本人医師から、オーストラリアでの皮膚科疾患の理解と治療に役立つ総合的なガイドをご紹介します。

    皮膚がん啓発

    オゾンホールに近いオーストラリアは、世界でも最も高いレベルの紫外線にさらされます。日焼けによる肌トラブルを防ぐために欠かせない対策として、日焼け止めを定期的に塗ること、つばの広い帽子をかぶること、日陰を探すことを心がけましょう。肌の弱い乳幼児には特に気を付けてあげてください。

    オーストラリアでは皮膚がん、特にメラノーマがよく見受けられます。疑わしいほくろが気になる場合は、皮膚科での診察を受けてもらいましょう。

    オーストラリアでは、70歳までに約3人に2人が何らかの皮膚がんと診断されると言われています。皮膚がんの早期発見は、治療成績を劇的に向上させる鍵となるため、オーストラリア滞在歴の長い高齢の患者さんには特に、毎月の自己検診と年に一度の専門家によるスキンチェックを受けることをお勧めしています。

    日焼け

    オーストラリアの日差しは日本より強いと言われています。オーストラリアの日差しはとても強烈で、夏場は数時間でひどい日焼けをしてしまうこともよくあります。海やプールに入る場合は特に、数時間おきに日焼け止めクリームを塗ってください。

    ひどい日焼けをした場合、皮膚は赤く腫れて激しい痛みを伴います。日焼けで水ぶくれができたり、皮膚が腫れたり、生傷ができたりした場合は、迅速な対応が不可欠です。まずは、それ以上のダメージを防ぐために、すぐに日光から離れましょう。

    保冷剤でやけどを冷やしたり、冷たいシャワーを浴びたりすると良いでしょう。ひどい日焼けは脱水症状を起こすことがあるので、水分を十分に摂ることも大切です。イブプロフェンなどの市販の鎮痛剤は、痛みや腫れを抑えるのに役立ちます。

    水ぶくれができた場合は、水ぶくれが保護膜の役割を果たしてくれます。感染を防ぐため、自分で水ぶくれを破裂させないことが重要です。代わりに、滅菌ガーゼでゆるく覆うのも良いでしょう。保湿ローションを塗ると乾燥が和らぎますが、皮膚に熱を閉じ込める石油を含むクリームやローションは避けてください。クリニックでは、患部の処置やクリームの処方を行います。

    日焼けに高熱や激しい痛み、脱水症状などの症状を伴う場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

    湿疹と乾燥肌

    湿疹とは、皮膚が赤くなり、かゆみを伴い、炎症を起こす疾患のことです。乳幼児から見受けられるアトピー性皮膚炎は、最も一般的な湿疹のひとつです。アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能に影響を及ぼし、水分が失われ、アレルゲンや刺激物質が皮膚に侵入しやすくなります。

    ブリスベンでの気候の変化は、時として敏感な肌に大きなダメージを与えることがあります。敏感肌の方が湿度の高い日本から乾燥したブリスベンに来た場合、湿疹が発症してしまうこともよくあります。日本からワーホリで来ている方の中には、慣れないファームでの外仕事や、レストランでの水仕事で、肌荒れや手荒れがひどくなるケースが良く見られます。

    以下のようなことが原因で湿疹の症状が悪化する可能性があります:

    • 刺激物: 石鹸、洗剤、シャンプー、消毒剤など。
    • アレルゲン: 花粉、ダニ、ペット、カビなどのアレルゲンが症状を悪化させます。
    • 微生物: 一部の細菌、ウイルス、真菌は症状の悪化を引き起こすことがあります。
    • 極端な温度: 非常に暑かったり寒かったり、湿度が高かったり低かったり、汗をかいたりすると、症状が誘発されることがあります。
    • 食物: 乳製品、卵、ナッツ類、種子類、大豆製品、特定のジュース、小麦は、人によってアレルゲンとなり、湿疹の再発又は悪化を引き起こすことがあります。
    • ストレス: 精神的ストレスは湿疹を悪化させることがよくあります。
    • ホルモン: 女性の場合、月経や妊娠などホルモン値が変化する時期に、湿疹が悪化することがあります。

    定期的に保湿し、肌に優しいスキンケア製品を使用し、乾燥を防ぐために水分補給をすることで、湿疹をうまく管理することができます。かゆみや赤みが続く場合は、医師の診断を受けてください。

    蕁麻疹

    蕁麻疹は、皮膚に盛り上がったかゆみを伴う湿疹ができ、その周囲に赤みが生じることが多いのが特徴です。蕁麻疹の大きさ、形、位置は様々で、時には蕁麻疹が一緒になって大きな斑点になることもあります。

    蕁麻疹は、皮膚の表面からヒスタミンやその他の化学物質が放出され、組織が膨張することによって生じます。ハウスダストや色々なアレルギーが原因となることもありますが、ストレスや風邪などで起きる場合もあります。原因を特定するための血液検査も出来ますが、およそ半分のケースが原因不明です。

    蕁麻疹は誰にでも起こる可能性がありますが、特にアレルギー体質や自己免疫疾患の既往のある人に起こりやすいといわれています。

    発疹は一般的に湿疹よりも一過性で、通常24時間以内に消退しますが、他の発疹が消えていくにつれて新たな発疹が出現することもあります。

    治療は、主に症状の緩和と誘発の原因の除去を中心に行われます。市販薬や処方薬の抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの作用に対抗するため、最も一般的に使用されています。Zyrtec, Claratyne, Telfast などの抗ヒスタミン薬は薬局での購入が可能です。

    慢性の蕁麻疹や重症の蕁麻疹の場合、当院GPから皮膚科専門医に紹介状を出すことになります。皮膚科専門医では、潜在的な誘発因子を特定するためにスキンテストなどの精密検査が行われます。より強い薬を処方したり、オマリズマブ(注射薬)や光線療法などの治療を勧めることがあります。

    水虫

    ブリスベンの温暖で湿度の高い気候は、真菌や細菌感染の温床となることがあります。特に公共のプールやジムによく行く人の間では、真菌感染による水虫がよく見られます。

    水虫の症状には以下のようなものがあります:

    • かゆみ、灼熱感、チクチク感: このような感覚は、特に足の指の間や足の裏に多くみられます。
    • 皮膚の乾燥、鱗屑: 特に足の指の間や足の裏の皮膚が乾燥し、カサカサして鱗状になることが多いです。
    • 水疱: 水疱ができ、場合によっては液体がにじみ出ることもあります。水疱が破れると、生乾きの皮膚になり、痛みを伴うことがあります。
    • ひび割れや皮むけ: 足の裏や側面が乾燥し、ひび割れることがあります。痛みを伴い、放置すると二次的な細菌感染につながることもあります。

    水虫が疑われる場合は、他の部位や他の人への感染を防ぐため、速やかに治療することが重要です。

    早期発見・早期受診は、合併症を予防し、早期回復に役立ちます。オーストラリアのGPや皮膚科医は、外用抗真菌薬、内服抗真菌薬、または副腎皮質ステロイド薬を処方して、この症状に対処します。

    ニキビとブリスベンの気候

    ニキビは、吹き出物や黒ずみ、時には深い膿胞や結節を特徴とする一般的な皮膚疾患です。ブリスベンの夏の湿度と暑さは、時に肌の過剰な皮脂分泌を促し、毛穴の詰まりやニキビの吹き出物を引き起こします。環境の変化やストレスで、こちらに来た日本人の方でニキビが悪化するケースはとてもよく見られます。

    まずは、マイルドで乾燥しにくい洗顔料で患部をやさしく洗い、余分な皮脂や古い角質を取り除きましょう。ゴシゴシこするのは、肌をさらに刺激するので避けましょう。

    サリチル酸や過酸化ベンゾイルのような成分を含む市販の治療薬は、炎症や細菌の増殖を抑えるのに役立ちます。肌が乾燥しすぎないように、オイルフリーの軽い保湿剤を使うことも大切です。

    また、ニキビを押しつぶしたり、弾けさせたりすることは、傷跡を残したり、感染症を引き起こす可能性があるので控えましょう。

    市販の治療薬で満足のいく結果が得られない場合は、GPに相談することをお勧めします。GPでは、色々な塗り薬や、抗生物質やニキビ用のピルなどの飲み薬で治療していくことが可能です。GPでの治療で改善が見られない場合は、皮膚科専門医へ紹介状を出すことになります。オーストラリアの皮膚科専門医では、より強力な局所治療薬や内服薬を処方し、個々のニーズに合わせた指導を行うことができます。

    にきび治療の期間中は、肌が日焼けしやすくなることがあるため、日焼けから肌を守ることを心がけてください。

    自分の肌タイプに合ったバランスの取れたスキンケアを習慣にし、食生活を見直すことも効果的です。

    虫刺されと肌

    自然の多いオーストラリアでは、虫刺されに悩まされることが多くあります。ブリスベンやケアンズを含むクイーンズランド州では夏場にかけて、特に朝夕の水辺でサンドフライというとても小さなハエのような虫に刺されるケースが多く見受けられます。日本人旅行者も、海辺でのバーベキューなどで被害を受けることが多くあります。

    サンドフライに刺された場合は、腕や足などに酷いかゆみを伴う小さなたくさんの発疹ができます。痒みは1-2週間続きます。目に見えないくらい小さな虫なので、虫よけスプレーや長袖でしっかり刺されないように、予め予防していくことがとても大切です。日本人旅行者が滞在先として使うこともあるバックパッカーやモーテルではトコジラミが出ることもあります。刺されると、腹部などに赤くて刺激性のぶつぶつが数か所できます。プールサイドなどの屋外でスズメバチなどのハチに刺されたり、森林を歩いていてクモに刺されたりした場合も、皮膚反応を起こすことがあり、専門医の診察を受ける必要があります。郊外のファームや森の中ではマダニの被害も見られます。

    一般的な虫刺されによる症状を緩和するために、家庭でできる治療法やセルフケアは数多くあります。しかし、症状が長引いたり、悪化したり、アレルギー反応の兆候が見られたりする場合は、医師の診察を受けることが重要です。以下は一般的なガイドラインになります:

    蚊やサンドフライ:

    • 冷湿布: 冷たい布や氷をタオルに包んで患部を冷やすことで、腫れを抑え、かゆみを和らげます。
    • 外用クリーム: カラミンやヒドロコルチゾンを含む市販のクリームは、かゆみを抑えるのに役立ちます。

    トコジラミ:

    • 掻かない:感染を引き起こす可能性があるので、できるだけ掻かないでください。
    • 抗ヒスタミン薬: 市販の抗ヒスタミン薬は、特に夜間のかゆみを抑えるのに役立ちます。

    ハチに刺された場合:

    • 針を取り除く: ハチに刺された場合は、クレジットカードの端などを使って針をかき出してみましょう。ピンセットを使うと、皮膚に毒が入りやすくなるので避けてください。
    • 冷湿布: 患部を冷やすことで、痛みや腫れを抑えます。
    • 鎮痛剤:パナドールなどの 市販の鎮痛剤で痛みを抑えることができます。

    虫刺されや刺傷に対する一般的な応急処置を記載しましたが、人それぞれで状況により体の反応は異なります。症状が心配な場合やお薬が必要な場合は、ぜひ医師にご相談ください。

    虫に刺されたことで、アレルギー反応が出てしまうこともあります。呼吸困難、患部の腫れ、心拍の速さ、じんましんなどの症状が現れた場合には、直ちに医療機関の診察を受けてください。

    オーストラリアでの皮膚科アドバイス

    ブリスベンのサクラファミリークリニックでは、上記のような経験をされた日本人の患者さんを数多く診察しています。当院には日本人医師、日本人の医療通訳、受付が常在し、日本語での診察が円滑に行われています。皮膚科への紹介の際には、日本語医療通訳のスタッフが同行するサービスも提供しています。患者さんとご家族がブリスベンで安心して毎日を健康に過ごすことが出来るよう、医療面でサポートしています。

    オーストラリアでは、日本とは違い、患者さんがご自身で皮膚科を受診することが出来ません。皮膚科にかかるには、まずはかかりつけのGPクリニックで診察を受けて、GPから専門医に紹介状を出してもらう必要があります。どこの皮膚科でも紹介状があってもすぐに見てもらうのは至難の業で、緊急度が高くない場合は、通常2、3か月ほどの待期期間があります。

    終わりに

    ブリスベンは気候も環境もよく、日本人の旅行者や長期滞在者にはとても人気があります。環境の変化に伴っての肌のトラブルも多くありますが、適切なケアによって、症状の改善が期待できます。オーストラリアに来てから肌の疾患で悩んでいる場合は、お気軽にご相談ください。

    さくらファミリークリニックは、ブリスベンで最も信頼のおける、評価の高い皮膚科医チームと提携しています。かかりつけ医として優れた専門医としっかりコミュニケーションを取りつつ、日本語で患者さんをサポートしていくことが可能です。様々な肌のトラブルに関しても安心して診察を受けることができます。

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  • オーストラリアでインフルエンザにかからないために: 健康維持のための日本人へのアドバイス

    2023-09-08

    #オーストラリアの医療情報 #ブログ

    オーストラリアでインフルエンザにかからないために: 健康維持のための日本人へのアドバイス

    今回はオーストラリアにおけるインフルエンザについてお話ししたいと思います。

    インフルエンザについて - A型とB型

    インフルエンザには、A型とB型があります。

    A型インフルエンザ:重症化しやすく、大流行を引き起こすことで知られています。

    B型インフルエンザ:通常はA型より軽いものの、それでも特に子供にとってはつらい症状となります。

    オーストラリアのインフルエンザのシーズンは、通常7月から8月にかけてピークを迎えます。日本では夏の時期ですが、オーストラリアでは冬の時期に当たります。オーストラリアではA型もB型もよく見られます。オーストラリア政府は、2週間に1度、オーストラリア・インフルエンザ・サーベイランス・レポートを発表し、オーストラリア社会におけるインフルエンザの流行を追跡しています。

    A型インフルエンザはより一般的で、アヒル、ニワトリ、ブタなど多くの動物に見られます。宿主の範囲が広いため、インフルエンザの大流行の原因となっています。A型インフルエンザ・ウイルスは急速に変異し、ヒトの免疫システムが対応できない新型インフルエンザ・ウイルスになる可能性があるからです。この急激な変化により、発熱や咳から肺炎のような極端な症例まで、より重篤な症状を引き起こすことが多いのが特徴です。

    一方、B型インフルエンザは、主にヒトに感染します。B型インフルエンザは流行を引き起こす可能性はありますが、A型のように広範囲に広がるパンデミックを引き起こすことはありません。一般的に、B型インフルエンザの症状はA型インフルエンザの症状と似ているものの、多くの場合、症状が軽いものが多いです。しかし、一部の人、特に特定の基礎疾患を持つ人では、B型でも重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

    要するに、どちらの型でも病気になる可能性はありますが、A型は急速に広がって重症化する可能性が高いのに対し、B型は重症化する可能性はやや低いものの、重大な健康リスクをもたらす可能性があるということです。

    こちらに来たばかりの日本人が、ホームステイやシェアハウス、バックパッカーなどの慣れない環境の中でインフルエンザにかかってしまうと、体調不良なのに口に合わない食べ物が多かったり、ゆっくり休めなかったりで不安とつらい思いを抱えてしまうこともよくあります。

    インフルエンザと受診のタイミング

    インフルエンザは、軽いものから重いものまで様々な症状があり、通常、突然発症します。高熱が出ることもあり、悪寒を伴うことも多いです。

    筋肉痛や疲労感も一般的で、特に脱力感や消耗感が強くなります。しつこい咳などの呼吸器症状が現れ、時には胸の不快感につながることもあります。頭痛、喉の痛み、鼻水や鼻づまりを訴える人も多いです。

    病気が進行すると、熱が下がるにつれて汗をかくことも珍しくありません。インフルエンザが重症化すると、特に高齢者や基礎疾患を持つ人のような感染しやすいグループでは、肺炎などの合併症を引き起こすケースがあります。

    また、インフルエンザと風邪は症状が重なるため混同されることもありますが、インフルエンザの症状はより強く、突然現れる傾向があることも知っておくとよいでしょう。

    急に高熱が出た場合は、クリニックでの診察を受けることをお勧めします。インフルエンザのRAT検査で陽性が出た場合、発症から48時間以内であればタミフルの処方が可能です。家族がすでにインフルエンザにかかっていて自分も具合が悪い場合などは、オンライン診察での検査なしでタミフル処方も可能です。オーストラリアでは、12歳以上の患者さんにタミフルが適用となっています。子供への抗ウイルス剤の投与は、まれに副作用として異常行動が出ることもあり、慎重になっています。

    マスク着用に対する意識の違い

    病気の際のマスク着用に対する文化的な考え方は、日本とオーストラリアでは大きく異なります。マスクへの抵抗感や慣れは、国や文化によって違います。

    日本では、特にインフルエンザの流行期にマスクを着用することは、社会的習慣ともいえるでしょう。これは他人を思いやる行動であり、病気の蔓延を防ぐ方法だと考えられています。特に人が集まる公共の場では他人に迷惑をかけないため、あるいは細菌から身を守るためにマスクをすることはマナーとされています。

    一方、オーストラリアでは昔から、病気のときにマスクを着用する習慣はありません。COVID-19のパンデミックのような世界的な健康事件が起こる以前は、オーストラリアでマスクをしている人を見かけることはほとんどありませんでした。具合が悪い場合は仕事や学校を休んで家から出ないようにして人と距離を置いたりすることで対応し、以前は予防策としてマスクを着用する習慣はなかったため、マスクをすることに対して抵抗を感じるのでしょう。

    ワクチン接種  大きな防御

    インフルエンザを避ける最善の方法の一つは、予防接種を受けることです。毎年、オーストラリアの専門家は、A型とB型の両方を予防できるインフルエンザの予防接種を受けることを勧めています。

    日本でインフルエンザの予防接種を受けた人でも、6か月の期間が過ぎていれば効果はありません。オーストラリアでの冬に備えて再度予防接種を受けることをお勧めいたします。

    インフルエンザの予防接種は、6ヶ月から5歳未満の小児、妊婦、65歳以上の高齢者など、最もリスクの高い人々を対象に、全国予防接種プログラムにより無料で受けることができます。それ以外の人は少額の料金がかかります。多くの薬局では、予約不要で予防接種を受けることもできます。

    オーストラリアでインフルエンザから身を守るには: 日本人居住者のためのヒント

    インフルエンザに感染しないためには、日本で学んだこととオーストラリアで最も効果的とされていることを組み合わせていくとよいかもしれません。

    こまめな手洗いを心がけ、マスクを着用し、インフルエンザが流行する時期はなるべく人混みを避けましょう。感染の疑いがある人や物に触れた場合は、特に目や鼻、口をこすらないように注意してください。

    食事で免疫力を高めることは、インフルエンザを含む病気の予防に効果的です。ここでは、人によっては効果が期待できるオージーフード5種類を紹介しましょう。

    柑橘類: オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライムにはビタミンCがたっぷり含まれており、感染症を撃退するのに不可欠な白血球の生産を増やすことが知られています。

    ニンニク: 世界中でよく使われているこの食材には、免疫力を高める作用のあるアリシンが含まれています。ニンニクを定期的に摂取することで、インフルエンザや風邪を予防することができます。

    ショウガ: 風邪をひいた後によく利用される生姜は、抗炎症作用や抗酸化作用があるため、インフルエンザの予防にも役立ちます。料理に加えたり、紅茶として飲んだり、サプリメントとして摂取することもできます。

    ヨーグルト: ヨーグルトのラベルに「 live and active cultures(生きた活性培養菌)」と記載されているものを探しましょう。これらの培養菌は免疫システムを刺激し、病気と闘うのを助けます。ヨーグルトにはビタミンDも豊富に含まれており、免疫力アップに役立ちます。

    ほうれん草:ほうれん草はビタミンCが豊富なだけでなく、抗酸化物質やβ-カロテンがたっぷり含まれており、体内の感染症と闘う力を高めてくれます。栄養素を保つために、できるだけ加熱しないほうが効果的です。

    普段の食事にこれらの食品を取り入れ、バランスの取れた食事を摂ることが、インフルエンザやその他の病気の予防につながります。

    十分な休息をとることも大切です。睡眠は体を休める重要な時間であり、研究によると、睡眠は免疫システムを強固にするために重要な役割を果たしています。睡眠がワクチンの効果を高めることも、研究によって明らかにされています。

    インフルエンザにかかったら

    オーストラリアでは、インフルエンザに対処するために、処方薬と市販薬の両方が用意されています。

    インフルエンザと診断された場合、特に重症な例やハイリスクグループには、オセルタミビル(商品名タミフル)やザナミビル(商品名リレンザ)などの抗ウイルス処方薬が一般的に処方されます。これらは、症状が現れてから48時間以内に服用すれば、インフルエンザの重症度と罹病期間を軽減するのに役立ちます。

    処方薬以外では、一般用医薬品(OTC)が薬局で広く販売されています。これには、パラセタモール(パナドール)やイブプロフェンなどの鎮痛剤や解熱剤が含まれます。また、呼吸器症状を抑えるために、咳止めや去痰剤も販売されています。さらに、のど飴や点鼻薬は、それぞれ喉の痛みや鼻づまりを緩和してくれます。

    特に他の薬と併用する場合や基礎疾患がある場合は、薬を服用する前に薬剤師または一般開業医(GP)に相談し、安全性と自分に合っていることを確認することが不可欠です。

    オーストラリアの薬局では風邪薬の種類が多く、何を選んだら良いのか戸惑うという声もよく聞きます。日本で飲んでいるのを同じようなお薬を希望される場合も、当院にて適切なアドバイスが可能です。

    インフルエンザに対するオーストラリアの家庭療法

    オーストラリアでは、世界中の多くの地域と同様、インフルエンザや風邪の症状に対処するための伝統的な家庭療法が何世代にもわたって受け継がれてきました。

    そのひとつに、レモンと蜂蜜を入れて飲む温かい紅茶があります。はちみつは天然の咳止めとして働き、のどの痛みを和らげ、レモンにはビタミンCが入っており免疫系を高めるとされています。

    また、ユーカリオイルを胸に塗ったり、蒸し風呂に数滴たらすのも一般的です。ユーカリはオーストラリア原産で、抗ウイルス作用があり、呼吸器系をすっきりさせることで知られています。

    また、オーストラリアでは多くの人がチキンスープの治癒力を信じています。これは世界各地の文化に共通する治療法です。これらの治療法の効果には個人差がありますが、にほんで病気の富におじやを食べるのと同じように、オージーはチキンスープで育ってきているので、多くの人が子供の頃に両親や祖父母から受けたケアを思い出し、安らぎと懐かしさを覚えるのかもしれません

    おわりに

    オーストラリアでの生活はアドベンチャーです。経験は財産とはいえ、病気になるのは辛いことです。特に、こちらに来てから間もない場合は、どうすればよいのか不安な気持ちでいっぱいになることかと思います。

    具合が悪くなった時には、一人で無理をせずに、思い切って周りの人に助けを求めてみましょう。病気の時に受けた他人からの優しさは、とてもありがたいことだと思えるはずです。そして、その時の感謝の気持ちを忘れずにいることで、次はきっと自分が同じように周りの人たちを助けてあげられるようになれます。

    昨年、テレビ朝日のニュースステーションでオーストラリアのインフルエンザ特集があり、私もオーストラリア在住の日本人医師としてインタビューを受けました。クイーンズランド州のスティーブン・マイルズ首相がインフルエンザについてスピーチをされています。

    よろしければ、以下のリンクからその際のビデオをご覧ください。

    https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000257548.html

    皆さんがにオーストラリアで健康で楽しい毎日を過ごせるようサポートしていきます。

    最新ニュース : さくらファミリークリニックでのウイルス検査

    さくらファミリークリニックでは現在、インフルエンザA型、インフルエンザB型、コロナウイルスの迅速抗原検査(RAT)を行っています。これらの検査はクリニックで迅速に行うことができ、15分以内に結果が出ます。

    検査結果が陽性であれば、感染している可能性が高いと判断できますが、陰性であっても必ずしも感染を否定するものではありません。

    また、コロナウイルス、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、アデノウイルス、パラインフルエンザ、ヒトメタニューモウイルス、ライノウイルス、RSV(8)のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も行っています。

    この場合、検体を検査機関に送って分析するため、結果が出るまでに24時間以上かかることがあります。この検査はRATよりもはるかに正確で、PCRが陰性であれば、感染症にかかっていないことを示す、より信頼性の高い指標となります。

    最近では、発熱のある患者さんにRAT検査を行うことが多くなりました。診療中に素早く診断し、すぐに治療を開始できるようにするためです。

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